著者は宮下奈都。
本屋大賞を取り、メディアでもたびたび取り上げられていたため、
一度読んでみたいと思っていた。
主人公、外村が調律師として成長していく物語。
様々な側面を持つ本書であるが、簡単に表現すれば、
解説で佐藤多佳子が述べている以下の文章にまとめられるだろう。
調律師をモチーフにした優れた仕事小説であると同時に、本作は、青年の成長物語である。
そして、外村の自分探しの物語。
どの側面から読んでも、とても面白く読めると思うが、
僕は特に、外村の自分探しの物語としての側面に興味をひかれた。
辞書によると、自分探しとは
「自分の現状に満足できず、本来の自分の性格、人生の目的など、
納得できるものを探し求めること。」(大辞林 第三版)
であるらしい。
つまり外村にとって、ピアノとは人生の目的として納得できるものだったのだ。
外村はピアノと出会うことで美しさを認識する。
ピアノに出会うまで、美しいものに気づかずにいた。
知らなかった、というのとは少し違う。
僕はたくさん知っていた。
ただ、知っていることに気づかずにいたのだ。
ただ、美しさを教えてくれたから、
ピアノが人生の目的として納得できるものになったかというと、
それは違う気がする。
外村の弟はピアノと出会った頃の外村について、こう話す。
人生の目的は世界とのつながりだったのである。
世界とのつながり
美しさの認識とは、
ピアノによって世界とより強くつながれるようになったことの
表れだったのだろう。
なぜ外村の自分探しに興味をひかれたかを考えると、
次の二点が理由だと思う。
まずは、単純にうらやましいから。
そして、自分探しを、世界とのつながりを見つけること、
と定義することに心底納得したから。
まずはうらやましさ。
外村は自分が見つかった時の感情を、以下のように振り返る。
外村のように、衝撃によって世界とのつながりを見出せる人が、
かなり少数派であることは間違いないと思う。
普通はそのようなものを見つけられないまま過ごすことになると思う。
当然僕も世界なんて見たことがない。
もし、そういうものに出会えていれば、もっと違った人生だったかもしれない、
ということは、この年になっても、考えてしまう。
次に自分探しの定義。
学生時代、海外に一人旅に行ってみたりしたこともある。
常に何かを探しているような感覚はいまだに覚えている。
しかし、当時の僕は、そもそも何を探せばいいのかわかっていなかった。
この本を読んで、何となく、当時の自分の探していたものが、
少し言語化されたような気がした。
まあ、当時の自分が読んでも、納得できていたかといわれると、
おそらくできていないような気もするが。。。
年を取ったからこそ、見えることもある、ということなのだろう。
自分探しを、世界とのつながり方を探すことと定義すると、
自分探しをするには、まず、世界を定義するところから始めないといけない。
手順が少し具体的になると、今からでもまだできるような気がしてくる。
久しぶりに自分探しをしてみようか。
面白いかもしれない。
忘れた?
ピアノの音は世界とつながってるって熱く語ったじゃないか。
世界なんて普通言わないよね。
俺はまだ世界を見たことがない
人生の目的は世界とのつながりだったのである。
世界とのつながり
美しさの認識とは、
ピアノによって世界とより強くつながれるようになったことの
表れだったのだろう。
なぜ外村の自分探しに興味をひかれたかを考えると、
次の二点が理由だと思う。
まずは、単純にうらやましいから。
そして、自分探しを、世界とのつながりを見つけること、
と定義することに心底納得したから。
まずはうらやましさ。
外村は自分が見つかった時の感情を、以下のように振り返る。
あっと叫び声を上げたくなった気持ち。
それほどの心の動きを、無意識のうちに僕は求めていたのだと思う。
かなり少数派であることは間違いないと思う。
普通はそのようなものを見つけられないまま過ごすことになると思う。
当然僕も世界なんて見たことがない。
もし、そういうものに出会えていれば、もっと違った人生だったかもしれない、
ということは、この年になっても、考えてしまう。
次に自分探しの定義。
学生時代、海外に一人旅に行ってみたりしたこともある。
常に何かを探しているような感覚はいまだに覚えている。
しかし、当時の僕は、そもそも何を探せばいいのかわかっていなかった。
この本を読んで、何となく、当時の自分の探していたものが、
少し言語化されたような気がした。
まあ、当時の自分が読んでも、納得できていたかといわれると、
おそらくできていないような気もするが。。。
年を取ったからこそ、見えることもある、ということなのだろう。
自分探しを、世界とのつながり方を探すことと定義すると、
自分探しをするには、まず、世界を定義するところから始めないといけない。
手順が少し具体的になると、今からでもまだできるような気がしてくる。
久しぶりに自分探しをしてみようか。
面白いかもしれない。
羊と鋼の森
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